法律事務所の選考方法も一般企業とそれほど大きく異なるわけではありません。中心となるのは、書類選考と面接です。そのため、就職対策としては、応募書類の作成と面接対策に重点を置く必要があります。今回は書類選考対策について説明します。
書類選考とは?
(手書きの)履歴書と職務経歴書(職歴がない場合は自己PR書)による審査です。具体的な作成ポイントは後に譲りますが、一般的なチェックポイントとしては以下のようなものがあります。
履歴書のチェックポイント
形式面
- 読みやすい字で書かれているか、丁寧に書いているか
⇒「きれいな字」である必要はありません。読む相手のことを考えて読みやすい字で書くことが重要です。また、いかにも「慌てて書いて出しました」というような殴り書きの字が評価されないのは言うまでもありません。
- 誤字脱字がないか
⇒当然の配慮ではありますが、間違って覚えている可能性もありますので、送り仮名も含めて第三者にチェックをしてもらったほうが無難です。
- 記入欄からはみ出していないか
⇒「数文字だし、線をまたいで書いてもいいよね?」と思いがちですが、裁判所などに提出する文書は形式面を厳しくチェックされるため、ルールに従わない文書の作り方はマイナス評価につながります。あらかじめ書くことを決めてから書けば避けられることですし、注意しましょう。
- 修正液を使っていないか
⇒単に見た目が悪いだけでなく、裁判所などに提出する文書は修正液・修正テープによる修正を認めていません。履歴書についても同様に考える法律事務所が多いでしょう。
- 下書きがきれいに消されているか
⇒上記のポイントを守ろうとすれば、当然、下書きを鉛筆等で作成してから清書することになりますが、下書きが残っているとやはりマイナス評価です。
- 適切な写真が貼られているか
⇒通常、履歴書の写真のサイズは縦4cm×横3cmが一般的で、履歴書にも枠が記されています。この枠よりも大きすぎたり、小さすぎたりする写真を貼るのはNGです。同様に顔が大きく映りすぎている、小さく映りすぎている、背景が単色でない(スナップ写真など)も適切な写真とはいえません。
内容面
- 志望動機が「志望のきっかけ」だけで終わっていないか?
- 志望動機と事務所の方向性にずれがないか
- 「働きながら実務を勉強したい」
⇒資格試験受験生に多い志望動機ですが、2つの点で問題があります。1つは「勉強したい」という部分です。一人前の法律事務職員になるには、2~3年の実務経験が必要といわれていますが、それまでの間、法律事務所はお金を払ったうえに、弁護士や先輩事務職員が時間をかけて新人を教育します。結果として実務が学べるのは事実ですが、学生気分で教えてもらおうという意識が透けて見えてしまうと、「勉強したいなら授業料を払え!」と思われてしまいます。もう1つは、「勉強した先」の話です。「実務のノウハウは身に付いたし、資格も取得できたので退職します」では、事務所側としては、何のために採用したのかわかりません。
将来の夢をもって法律事務所で働くことを否定するつもりはありませんが、採用側の心情を理解せずに自分の都合だけを押し付けるような志望動機で結果が出ないのは当然です。
職務経歴書のチェックポイント
形式面
- ビジネス文書としての基本的な体裁が整っているか(文書の見やすさ、レイアウト)
⇒適切な文字の大きさで作成し、見出しや改行を適宜入れるといった基本的な事柄ですが、意外にできていない方が多いです。
内容面
- 求められているスキルについてアピールできているか
- 転職している場合、転職理由が合理的に説明できているか
⇒転職理由については、「一身上の都合により」として詳しく書かないのが基本ですが、短期で離職している場合や転職を繰り返しているような場合で、結婚や家族の転勤、介護といったやむを得ない事情がある場合には記載するのも一法です。